第3回 電子ペーパーシンポジウム

有楽町にある東京国際フォーラムで開催された、電子ペーパーシンポジウムというのに行って来ました。電子ペーパー自体は有名どころでは、SONYの電子ブックリーダ「LIBRIe EBR-1000EP」(2004年4月24日発売) のように、数年前に既に製品化もされていますが、なかなかその本来の「薄さ」「軽さ」或いは「低コスト」と言った特徴を活かした製品はまだありません。カラー化や大型化というのは一般的には注目されがちですが、モノクロでもその特徴は十分に差別化されるもので、さまざまな分野での応用が期待されています。会場では各メーカの実際の試作品のデモもあり、掲載許可を頂いたブリジストン電子ペーパー(QR-LPD)とそれを用いた日立製作所のディスプレイモジュールをご紹介します。


ePaper1
ブリジストンの開発した電子ペーパー。2階調だが、白黒以外に他の色での2階調も可能。写真はオレンジ色の2階調。写真のように曲げられる。表示の様子(動画)

ePaper2
カラーフィルターを用いたカラー版もある。一般にカラー版の問題点は、コスト以外に、モノクロ版と比較して、解像度の低下、輝度の低下がある。

ePaper3
日立製作所のディスプレイモジュール「Albirey」
一見すると、単なる写真立てのようなのに、バッテリ駆動で、無線LANIEEE802.11b)を搭載しているのがすごい。でも残念ながら、こちらは折り曲げられない・・w パネルディスカッションでは、電子ペーパーは既に技術的に十分成熟しているという意見もあったが、周辺の制御回路などがより低コストで、かつ小型化、もしくはフレキシブル化が進まないと利用シーン(応用先)が限られると思う。

ePaper4
表示の様子の動画(思わず横に撮影してしまいましたw)
電子ペーパーの性能としては、「書き換え速度」というのもポイントで、まだとても動画表示はできません。

んで、なんで「電子ペーパー」に興味があるかというと、単に新しいもの好きというだけでなく、FPGAに共通する点があるからです。「書き換え速度」とかでピンときちゃうわけですが、電子ペーパーって、いわば「再構成可能デバイス」な訳ですよ。書き換えが遅くて、その様子が目に見えちゃうのは、再構成ふぇちとしてはたまりませんw

私の嗜好はともかく、現状では、

電子ペーパー(ペーパーライクディスプレイ)の性能指標:
1.解像度
2.輝度/コントラスト
3.大きさ
4.色/階調
5.書き換え速度
6.消費電力(保持電力/書き換え電力)
7.フレキシビリティ(曲げ易さ/耐久性)
8.表示保持時間
9.コスト

などがあり、このうち1と2が基本的な性能で、モノクロ(2階調)では既に技術的には現状の「紙」の代替になるに十分の性能を達成しているというのが、あるメーカ側の主張でした。コンテンツ側も、新聞メディアや技術マニュアルの代替としてはモノクロで十分であるし、大きさ、書き換え速度なども現状で問題ないようです。面白いのは、コストが単に、電子ペーパーのコストだけ見るのではなく、代替メディアとして考えたときに、その利用上のコストを考えるべきとの主張で、例えば新聞の代替であれば、印刷、輸送、配達といった経路で生じる人件費の削減が最も大きいのではないかというものです。このため既存の新聞社などは失業などの問題も考慮しなければならないため動きにくいが、逆にベンチャーにとってはチャンスであるという意見もありました。

とにかく、個人的には早く手元にいじれるデバイスが欲しいわけですが、秋月あたりで手に入るようになるにはまだ5年以上かかる感じですね。現状ではE-INKのキットが唯一個人入手可能なデバイスですが、余計なものがいっぱい付いてて高いんですよね・・